プロジェクト概要


再生医療産業化に向けたシステムインテグレーション -臓器ファクトリーの創生-

医工・産学のシームレスな融合による再生医療産業化の促進



世界の患者を治すために、 医と工、産と学の最適な融合を目指します
   私たちはこれまでに、細胞を培養してシート化し、何層も積み重ねて患部や臓器に貼りつけて移植し、さらにそれらを治療する新しいティッシュエンジニアリング「細胞シート工学」を創成しました。既に、角膜・心臓・食道ガンの治療に適用することで、革新的再生医療を実現しています。従来根治できなかった疾患の治療に成功したことで、細胞シート工学は世界の注目を集め、今後の発展に大きな期待が寄せられています。
   再生医療を普及させ、ひとりでも多くの患者さんを治すためには、医工連携と産学連携という要素を1つにまとめ、実用化を促すことが欠かせないと考えています。私たちは本プロジェクトを通じこれらを具体化し、再生医療産業化の基盤を構築します。

組織ファクトリーと臓器ファクトリー
   開発項目の成果を臨床(医療産業)で応用するには、全てが統合されたシステム(ファクトリー)として機能する必要があります。そこで、本プロジェクトでは各開発項目の大枠として、「組織ファクトリーの開発」と「臓器ファクトリーの創製」という2つの“ファクトリー”の名を持つ開発グループを設けました。各開発項目が1つの拠点(東京女子医科大学)に集結し、一貫したシステムの一部として成立することを目指して開発を進めることで、早期に臨床応用が実現できることを目指します。



TISSUE FACTORY
組織ファクトリーの開発

T-FACTORY
ORGAN FACTORY
臓器ファクトリーの創製

O-TACTORY



NEWS

2013.9  本PJでの血管網付与(厚い組織作製)の成果に関する基本特許が国内で成立しました。


特許番号: 特許第 5322332, 5322333 号
発明名称: 細胞シート積層化物の製造方法




2013.3  血管網付与技術に関する論文がNature Communications, Scientific Reportsに掲載されました。(オープンアクセス論文)


Sekine H, Shimizu T, Sakaguchi K, Dobashi I, Wada M, Yamato M, Kobayashi E, Umezu M, Okano T, In vitro fabrication of functional three-dimensional tissues with perfusable blood vessels, Nat Commun, 4, 1399 (2013).
Sakaguchi K, Shimizu T, Horaguchi S, Sekine H, Yamato M, Umezu M, Okano T, In vitro engineering of vascularized tissue surrogates, Sci Rep, 3, 1316 (2013).




2012.9  本PJでの装置設計の基本概念に関する基本特許が国内で成立しました。


特許番号: 特許第 5051677 号
発明名称: 細胞培養処理システム及び細胞培養処理システムのモジュール接続方式




2012.4  細胞シート積層化法に関する論文がNature Protocolsに掲載されました。


Haraguchi Y, Shimizu T, Sasagawa T, Sekine H, Sakaguchi K, Kikuchi T, Sekine W, Sekiya S,Yamato M, Umezu M, Okano T. "Fabrication of functional three-dimensional tissues by stacking cell sheets in vitro." Nature Protocols 7, 850–858 (2012).




2012.3  細胞単離・初代培養および細胞大量継代システム試作機が完成しました


  平成23年度において設計・作製していた標題の実用試作機が、TWInsの組織・臓器ファクトリー室に設置されました。これにより、平成22年度に完成していた細胞シート積層化システムと連結することで、患者さんより採取した組織から最終製品まで一貫して製造(加工)ができるようになります。
  4月末にかけて調整を行い、その後、全システム(T-Factory)を用いた心筋治療用細胞シートの生産に向けた製造手順の確立を進め、大動物(ブタなど)を用いた前臨床研究を開始することを目指します。


T-Factory

図 細胞単離・初代培養/細胞大量継代システム試作機

(写真は設置・組み立て中の状態)



“T-Factory”の特長についてはこちらをご参照ください。(PDF)



2011.4  細胞シート積層化システム試作機がTWInsの組織・臓器ファクトリー室に設置されました


  平成22年度では、自動化装置「組織ファクトリー」の基本コンセプト設計を開始し、移植用細胞シート製品の製造(管理)工程を、細胞単離・初代培養プロセス、大量(継代)培養プロセス、細胞シート作製・積層化プロセス、および生産管理(スケジューラ)に分け、それぞれに開発が進められるようにしました。
  その中で、細胞シート作製・積層化プロセスについては、本年度において無菌製造手順検討が可能な試作機(細胞シート積層化システム)の設計および製作を実施しました。


layering system

図 細胞シート積層化システム試作機

  細胞シート積層化システムは、上図に示すようにモジュール方式を採用し、搬送(トランスファー)モジュールを中心に、播種&培地交換モジュール、積層化モジュール、CO2インキュベータモジュール、 4グローブアイソレータモジュールで構成されています。これらのモジュールはアイソレータとして独立しており、個々で着脱可能で、適宜必要な装置を装着・除染(H2O2除染装置を搭載)して使用することを可能にしています。今後開発される、細胞単離・初代培養プロセスおよび大量(継代)培養プロセスの自動化装置も本システムに接続できるように設計されています。
  平成23年度では、本機を用いた具体的な培養実験を予定しております。



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