No.34 & No.35(2022)
第44回未来医学研究会大会
第44回未来医学研究会年次大会を振り返っての所感
大会長 正木 人志

 

 清水会長より標記大会長を仰せつかったのは確か2021年5月頃と記憶しています。私には初めての大会長役、しかも、計画立案、演者出演依頼、大会準備/設営、及び当日運営といった全ての段階がバーチャルを通じての実行と初めて尽くしでした。私はこのような大役の経験もなく、コロナ下でお引き受けする自信はありませんでした。
 しかし、実際は、精鋭の研究会事務局の皆様(徳増さん、福田さん、等)及び優秀なBMC同期の皆様(尾崎先生、千秋さん、苗村先生、久田さん、安河内さん、等)から強力なサポートを頂き、私の不安は杞憂に過ぎ去りました(皆様には改めて感謝申し上げます。実際、私は皆様の後ろを着いて行くのが精いっぱいでした)。

 さて、運営側の陣容が整った後は、同期で頭を捻り、標記大会の目的を「近未来都市の医療」とし、本大会史上初めて、都市空間に着目して医療との係わりを研究することとしました。

次にこの目的に適う斯界の権威の先生方をネット上で探索しました。以下の先生方からは、唐突な講演依頼にもかかわらず、ご快諾いただき誠にありがたく存じ上げます。

 

    • 知財専門家(TechnoProducer株式会社);楠浦祟央様
    • 不動産専門家(三井不動産株式会社);山下和則様
    • 建設専門家(清水建設株式会社);中田康将様
    • 通信専門家(日本電信電話株式会社);是川幸士様
    • 医療専門家(静岡県立静岡がんセンター);山口建先生

 

 上述の通り、幅広い分野の専門家からご講演/ご討論いただいたため、都市空間と未来医療との関わりついて、様々な切り口で議論できたと思います。

私が当日、近未来都市の医療について学んだことは、以下の(1)(2)です。

 

(1)健康未来都市の一つの開発傾向

    • 住民(含む患者さん)の健康状態を、ご本人が意識せずに、街の方から常時モニタリングすること
    • 当該モニタリング結果を踏まえて、住民(含む患者さん)の健康増進/治療に、ご本人が意識せずに、街の方から介入すること

 

(2)一方、前述(1)の大前提として忘れてはいけない最も重要なこと

    • 住民(含む患者さん)お一人お一人のご意思/ご希望に沿って、当該モニタリングと医療介入を行うこと

 

 私は、上述の学びから、便利なサービスを受ける際、自分が受けるモニタリングや介入の内容を完全に理解した上で選択して、定期的に見直そうと自戒しています。

科学/医学の進歩により、無意識に健康状態がモニタリングされ、無意識に健康増進/治療がおこなわれる。そんな街が、もうすぐそこに来ているかもしれません。

(2023年2月21日受理, 2023年3月2日公開)


正木 人志 (まさき ひとし)

第44回未来学研究会大会 大会長

BMC33期