2024年度は、5件のマンスリーセミナーを開催しました。基礎から応用研究、臨床までの幅広いトピックスに関して、著名な先生方にご講演していただきました。
未来医学研究会マンスリーセミナー Vol. 34「免疫療法をがんと自己免疫疾患にDDSする」
【日時】 2024年4月25日(木)18:30~19:30
【会場】 東京女子医科大学先端生命医科学研究所(TWIns)2階会議室(オンラインとのハイブリッド開催)
【講師】 石原純先生(インペリアルカレッジロンドン/国立がん研究センター 講師(PI))
【講演概要】 免疫療法はがんや自己免疫疾患の薬として世界的にも多くの売り上げを挙げている。多くの臨床開発や研究が進む一方でまだ薬効、副作用、投与経路、製造などの面で進んでいない。我々はタンパク質工学の方法論を用いて、癌であれば癌のコラーゲンに結合させるようにタンパク質を改変させると静脈注射後に癌に集積した。自己免疫疾患に対しては抗炎症性サイトカインをリンパ節に輸送させることで、リウマチや多発性硬化症など多くの疾患に対する新しい治療法を開発している。
【参加登録人数】 27名
未来医学研究会マンスリーセミナー Vol. 35「血液凝固反応起始因子である組織因子(凝固第III因子)の生体内多様性」
【日時】 2024年5月16日(木)18:30~19:30
【会場】 東京女子医科大学先端生命医科学研究所(TWIns)2階会議室(オンラインとのハイブリッド開催)
【講師】 辰巳公平先生(奈良県立医科大学血栓止血先端医学講座 准教授)
【講演概要】 出血(血管壁の破綻)が生じた際には、まず血小板による一次止血反応が惹起され、次いで各種凝固因子による二次止血反応を経て不溶性のフィブリンからなる止血血栓が形成される、というのが教科書的記載であるが、実際の止血反応はより複雑な過程を経て進行することが近年の研究で明らかにされつつある。その反応において重要な役割を果たす因子の1つとして、組織因子(tissue factor、凝固第III因子)が挙げられる。本セミナーでは、血液凝固の総論的な説明をした上で、組織因子が生体内で果たす多様な機能について紹介したい。
【参加登録人数】 20名
未来医学研究会マンスリーセミナー Vol. 36「臓器保存から臓器蘇生、そして臓器培養への展開」
【日時】 2024年9月19日(木)18:30~19:30
【会場】 東京女子医科大学先端生命医科学研究所(TWIns)2階会議室(オンラインとのハイブリッド開催)
【講師】 小林英司先生(東京慈恵会医科大学産学連携講座腎臓再生医学講座 特任教授)
【講演概要】 20世紀の奇跡の医療としてヒト臓器移植が一般的治療として世界中に普及した。そこには死者からの臓器摘出とその臓器の移植までの保存技術、すなわち臓器保存学が基盤となった。21世紀、この革命的ヒトからヒトへの命のリレーによる治療は、人工臓器等の研究開発が進む中、末期臓器不全の切り札として定着する反面ドナー臓器の不足が顕著化している。現在の臓器不足を補う方法として、循環停止したヒト等の移植不適合とさえている臓器を移植化可能な状態に蘇生してから移植する臓器蘇生学が急速に普及している。この手法は、摘出した臓器の体外での修復を可能としつつある。幹細胞研究や再生医学が進む未来医学において、ヒト臨床での臓器培養学が現実となるためには、小動物で積み重ねた知識と技術にさらに臨床レベルでの医工学技術が必要である。本講演は、これまで演者が挑んできた臓器培養プロジェクト‘ドン・キホーテ‘を紹介する。
【参加登録人数】 26名
未来医学研究会マンスリーセミナー Vol. 37「天然環状ペプチドを基盤にした中分子創薬への挑戦」」
【日時】 2024年10月31日(木)18:30~19:30
【会場】 東京女子医科大学先端生命医科学研究所(TWIns)2階会議室(オンラインとのハイブリッド開催)
【講師】 尾仲宏康先生(学習院大学理学部生命科学科 教授)
【講演概旨】 本講演では、天然環状ペプチドを基盤にした中分子創薬のアプローチについて、微生物の生産する生理活性物質の可能性に焦点を当てて解説します。特に、放線菌が生産する天然物の構造を活用した薬物設計と、それが医療分野での応用にどのように寄与するかを、最新の研究データを交えてご紹介します。天然物の潜在能力を最大限に引き出し、革新的な創薬開発をするための手法に迫ります。
【参加登録人数】 28名
未来医学研究会マンスリーセミナー Vol. 38「造血因子創薬における世界競争の経験から,生命科学における探索研究の未来を考える」
【日時】 2025年1月23日(木)18:30~19:30
【会場】 東京女子医科大学先端生命医科学研究所(TWIns)2階会議室(オンラインとのハイブリッド開催)
【講師】 加藤尚志先生(早稲田大学・教育・総合科学学術院教育学部/大学院先進理工学研究科 教授)
【講演概要】 1980年代に創出された遺伝子工学は,生理活性をもつ蛋白質分子探索が加速させた。その先端を走る造血因子は世界的な発見競争となり,組換え蛋白質医薬の創製が始まった。その後半世紀を経て,パラダイムシフトは次々に発生し,疾病治療手段の分子モダリティは拡大している(そもそも“モダリティ”は研究現場では身近な言葉ではなかった)。我が国では2005年から経産省による技術戦略マップが策定,改訂されたが,想定されたロードマップよりもはるかに速く技術革新が進んでいる実感がある。組換え医薬の黎明期の競争を経験した後,基礎科学へ転じた背景と視点から,生命科学における研究手段の拡大と選択,人材育成の課題を総括したい。
【参加登録人数】 22名
