拠点形成の概要

本学はこれまで、真の意味で医工連携・産学連携の意義を正確に理解し、これを推進できる人材を育成してきたと自負していますが、本計画ではこれを大きく発展させたいと考えています。

医学系研究者ないし医師と、理工薬学系研究者が有する文化・言語は大きく異なっており、ただ単に席を並べたり研究環境を共有するといった程度では、お互いの間のギャップを埋めることはできません。

医学側からの要望を工学側が忠実に実現するというタイプの研究(御用聞き型研究)では、国際競争力を有する本質的に新規な研究開発は期待できません。両者の絶え間ない交流に基づく意見や知識、臨床および実験データの共有をとおしてのみ、世界を先導する予期し得なかった新しい発見・発明が生じうると考え、このような努力を惜しまない人材を育成していきます。
本学のこれまでの経験から、先端医療教育は座学やあらかじめ詳細が決められた実習だけでは十分な効果を得ることができず、具体的なテーマにもとづく実践的な研究活動が必要であることを強く認識しています。医工連携・産学連携を強力に推進しうる人材の育成には、理想的には理工薬学系のPh.D.(教官ないしポスドク、大学院生、研究員)とM.D.(医師、教官ないしポスドク、大学院生)が一対一でペアを組むような、同一目的に対し、異なる手法で集学的にアプローチしシナジー効果の出せる研究体制が望ましいと考えるにいたっています。
このような取り組みにより、研究成果の製品化、多施設試験、スピンアウトとしてのベンチャー企業の設立を支援し、国際競争力をもつ医療産業を創出できる種(シーズ)としての研究とその開発を進めていきます。

形成される拠点の最終的なイメージとしては、医工連携・産学連携にもとづく集学的教育研究を強力に推進できるシニアおよび中堅クラスの人材と、実践的な研究をとおして、医工連携・産学連携の意義を身体で理解することを目指す若手研究者、若手医師が、研究教育環境をその哲学とともに共有するというものです。
当該分野の欧米の成功事例からも明らかなように、このような取り組みなしには、近年の医療関連機器の貿易収支を改善することはできません。医師や企業研究者らを中心とする本学の大学院生のみならず、診療を終えた後、夜間に研究の時間を割く若手医師らをもサポートすべく研究環境の整備と、若手研究者を対象として若手G-COE研究プロジェクトの公募をおこない、学生、若手研究者の支援と研究発展のモチベーションを高めていきます。
また、英語コミュニケーション関連科目を担当する外人教員の採用、若手研究者のコミュニケーション能力の向上を目的としたセミナーを開講し、グローバルな医療テクノロジーと先端医療の創出によって、日本の医療に国際的競争力をもたせ、自立させることができると考えています。