
行事案内詳細
*本セミナーは終了致しました。*
*ありがとうございました。*
*開催日が変更となりました*
2016年2月10日(水)10:00-11:00 / 東京女子医科大学 TWIns 2F 大会議室
[演者] Kyungsook Kim
[演題]『Various biomaterial applications for tissue engineering and regenerative medicine 生体高分子を用いた組織工学および再生医学への応用』*無事終了致しました。*
*ありがとうございました。*
(文部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「再生医療本格化のための最先端技術融合拠点」)
●2015年11月14日(土)9:45~18:00 ●東京女子医科大学 弥生記念講堂 ●参加費無料 ●事前登録不要
新規基材グループ
微細加工技術が実現する次世代型温度応答性培養基材の開発
東京女子医科大学が開発した温度応答性培養皿の作製技術をもとに、株式会社セルシードが平成20年9月から商品名「UpCell®」のグローバル販売を開始した。この第1世代温度応答性培養皿を利用することにより、シート状の培養細胞を低温処理だけで回収 することができ、既に角膜上皮、食道、心筋、歯根膜を再生するための細胞シート再生治療に成功している。我々は現在、より広範かつ高度な細胞シート再生治療を実現すべく、次世代型温度応答性培養基材の開発に取り組んでいる。
様々な組織、臓器から採取した細胞をシート状に構築するためには、細胞種に適した基材表面の設計および作製技術が求められる。現在、電子線照射によるポリマーグラフト法、リビングラジカル重合によるポリマーブラシ作製技術、さらにスピンコートのみで簡易にポリマーコーティングを実現する技術など、目的に合わせた多種多様な温度応答性表面の作製に成功している。電子線重合により作製したポリマーに特定の生体分子を導入することで、細胞を生化学的に捉える仕組みを組み込んだ温度応答性培養基材の開発に取り組んでいる。
微細加工技術を巧みに利用することで、温度応答性基材表面のマイクロパターニングを実現した。数種類の異なる細胞を任意の大きさ、形状で共培養し、かつシート状に回収するための温度応答性マイクロパターン化培養基材の開発を行っており、肝臓など複雑な構造の生体組織を忠実に再現するための培養基材として期待される(図1)。また、任意の方向に細胞の配向性を制御できるマイクロパターン化温度応答性培養基材の開発にも成功しており、より高機能な細胞シートの作製に応用展開する(図2、3)。 細胞のパターニングおよび配向制御を実現するこれらの新規基材開発には、大日本印刷株式会社の超微細加工技術が貢献しており、たとえば、この技術を利用した表面設計により、細胞シートの剥離を加速させるための基材開発などに応用されている。
次世代型温度応答性培養基材の開発と並行して、作製されたこれらの培養基材の物性・機能を評価する新たな手法の確立も併せて行っている。原子間力顕微鏡(AFM)による微細加工表面の物理化学的な評価、マイクロ流路を用いた細胞挙動の観察などにも着手しており、様々な基材の特徴を多角的に捉える新しい評価手法として有効であると期待される。
図3:
低温培養により剥離する配向制御された線維芽細胞シート
左:自発的に剥離する細胞シート、右:細胞の配向方向に依存して収縮率が異なる細胞シート(20mm×20mm の基材から回収)
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研究者紹介
先端生命医科学研究所 助教 高橋 宏信 Hironobu TAKAHASHI
私は、温度応答性ポリマーブラシをベースとした基材表面上にフォトリソグラフィ技術を用いてマイクロパターンを形成させた新しい培養基材を開発しています。この基材表面上において、たとえば線維芽細胞の配向性を制御することに成功しており、低温培養により異方性を有する細胞シートの回収を実現しています。細胞を基材に播種するだけで細胞の配向性をパターン方向に制御できるため、生体組織が本来有する配向性をin vitroで再現できる技術として期待できます。さらに既存の技術と異なり、配向制御されたこれらの細胞は細胞シートとして回収することができます。したがって、細胞シート工学にこの技術を組み込むことで、3次元的に異方性がデザインされた組織の構築を実現できると期待されます。今後は、より高度に生体を模倣した組織づくりを達成するための基材として、本プロジェクトの目標を実現するために活用されることを期待しています。
業績リスト
- Takahashi H, Nakayama M, Itoga K, Yamato M, Okano T. Micropatterned thermoresponsive polymer brush surfaces for fabricating cell sheets with well-controlled orientational structures. Biomacromolecules. 2011;12(5):1414 - 8.
- Takahashi H, Nakayama M, Yamato M, Okano T. Controlled chain length and graft density of thermoresponsive polymer brushes for optimizing cell sheet harvest. Biomacromolecules. 2010;11(8):1991- 9.
- Tang Z, Akiyama Y, Yamato M, Okano T. Comb-type grafted poly(N-isopropylacrylamide) gel modified surfaces for rapid detachment of cell sheet. Biomaterials. 2010;31(29):7435 - 43.
- Elloumi-Hannachi I, Itoga K, Kumashiro Y, Kobayashi J, Yamato M, Okano T. Fabrication of transferable micropatterned-cocultured cell sheets with microcontact printing. Biomaterials. 2009;30(29):5427- 32.
- Itoga K, Kobayashi J, Tsuda Y, Yamato M, Okano T. Second-generation maskless photolithography device for surface micropatterning and microfluidic channel fabrication. Anal Chem. 2008;80(4):1323 -7.