
行事案内詳細
*本セミナーは終了致しました。*
*ありがとうございました。*
*開催日が変更となりました*
2016年2月10日(水)10:00-11:00 / 東京女子医科大学 TWIns 2F 大会議室
[演者] Kyungsook Kim
[演題]『Various biomaterial applications for tissue engineering and regenerative medicine 生体高分子を用いた組織工学および再生医学への応用』*無事終了致しました。*
*ありがとうございました。*
(文部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「再生医療本格化のための最先端技術融合拠点」)
●2015年11月14日(土)9:45~18:00 ●東京女子医科大学 弥生記念講堂 ●参加費無料 ●事前登録不要
幹細胞グループ
組織幹細胞の制御機構の解明と操作方法の確立を目指して
再生医療において、幹細胞は細胞ソースとして、大きな注目を集めている。幹細胞は全能性(万能性)を持つES 細胞、iPS細胞と、ある程度分化の方向が決定している組織幹細胞とに大分される。 組織幹細胞は、成体の組織に存在する幹細胞であり、生理的な代謝や損傷等で失った分化した細胞を供給し、その組織を維持するために重要な役割を果たしている。 これまで、組織幹細胞は骨髄、筋肉、角膜皮膚、小腸などの多くの組織で発見され、最近では神経、心筋、膵臓、肝臓などにおいてもその存在が確認されている。
我々は、現在最も研究の進んでいる組織幹細胞である造血幹細胞と、我々が世界で最初に発見した角膜輪部上皮side population(SP)細胞(角膜上皮幹細胞)との比較により、組織幹細胞共通の制御機構を解明し、再生医療の基盤となる幹細胞の操作法の開発を目指している。 これまでに我々は、上記2種類の組織幹細胞の細胞表面抗原を網羅的に比較検討し、integrin β3(CD61)、nectin - 3 という接着分子の発現が、共通に高いことを見出した。
さらに、integrin β3 においては、マウス造血幹細胞を用いて詳細に解析にしたところ、in vivo においても in vitro においても 造血幹細胞の活性維持に重要な役割を果たしていることを発見した。また、造血幹細胞においては、integrin β3 シグナルはサイトカインシグナルと互いに協調することによって、造血幹細胞の活性維持に必要な 遺伝子発現を上昇させていた。 これらのことから、 integrin β3 はサイトカイン依存性の造血幹細胞の活性維持において、非常に重要であると考えられた。 さらに、integrin β3 シグナルを誘導する培養条件下で造血幹細胞を培養すると、幹細胞活性を損失することなく幹細胞数を増幅することに成功した(東京大学医科学研究所 中内教授、京都大学iPS 研究所 江藤教授との共同研究)。現在は、integrin β3 シグナルによって発現に影響が出た遺伝子と幹細胞との関係からも、幹細胞制御機構の解明を試みている。
図2:
integrinβ3 による幹細胞活性の維持機構
A:サイトカインシグナルによりintegrinαvβ3(integrin β3) の活性化
B:integrin β3 シグナルとサイトカインシグナルによるstem-nessgenes の発現上昇
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研究者紹介
先端生命医科学研究所 助教 梅本 晃正 Terumasa UMEMOTO
近年、幹細胞研究はかなり盛んに行われるようになってきましたが、in vitro で組織幹細胞の活性を維持させたまま、増殖させることは未だに難しい課題となっています。そこで、我々は、組織幹細胞共通の機構を解明し、再生医療の基盤となる幹細胞の操作法の開発を目指しております。さらに、我々の解明した機序や開発した技術は、組織幹細胞を用いた再生医療だけではなく、iPS 細胞から目的の細胞への分化誘導や維持等においても、応用することを視野に入れ、日々精進しております。
業績リスト
- Kusanagi R, Umemoto T, Yamato M, Matsuzaki Y, Nishida K, Kobayashi Y, Fukai F, Okano T. Nectin-3 expression is elevated in limbal epithelial side population cells with strongly expressed stem cell markers, Biochem Biophys Res Commun. 2009;389(2):274-8.
- Umemoto T, Yamato M, Nishida K, Yang J, Tano Y, Okano T, Limbal epithelial side population cells have stem cell-like properties, including quiescent state, Stem Cells. 2006;24(1):86 -94.
- Umemoto T, Yamato M, Shiratsuchi Y, Terasawa M, Yang J, Nishida K, Kobayashi Y, Okano T, Expression of integrin β3 is correlated to the properties of quiescent hematopoietic stem cells possessing the side population phenotype, J Immunol. 2006;177(11):7733 -9.