
行事案内詳細
*本セミナーは終了致しました。*
*ありがとうございました。*
*開催日が変更となりました*
2016年2月10日(水)10:00-11:00 / 東京女子医科大学 TWIns 2F 大会議室
[演者] Kyungsook Kim
[演題]『Various biomaterial applications for tissue engineering and regenerative medicine 生体高分子を用いた組織工学および再生医学への応用』*無事終了致しました。*
*ありがとうございました。*
(文部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「再生医療本格化のための最先端技術融合拠点」)
●2015年11月14日(土)9:45~18:00 ●東京女子医科大学 弥生記念講堂 ●参加費無料 ●事前登録不要
心筋グループ
細胞シート工学による心臓補助ポンプの創生
不全心筋への細胞浮遊液の注入に次ぐ第二世代の心筋再生医療として組織工学技術を用いて作製した再生心筋組織の心臓への移植が追及されている。本研究ではさらに効果的と考えられる第三世代の心筋再生医療として、物理的に循環動態を改善し得るような補助ポンプ様の管状三次元心筋組織創生を試みているが、これまでにin vitro とin vivo において内圧較差を発生させる三次元心筋組織の再生を可能としてきた(図1)。
心筋細胞シートを大動脈外周に巻きつけることで移植可能な管状三次元心筋組織をin vitro で再構築し、異なる個体の大動脈との置換移植を行ったところ、置換移植後4 週間においてホスト心臓とは異なる管状三次元心筋組織単独の自律拍動が肉眼および電位測定で確認できた。またカテーテルを用いた血管内圧測定では平均5.9±1.7mmHgの内圧較差が計測された。組織切片では動脈の外周に心筋組織の生着が認められ、規則正しい筋節構造、多量のミトコンドリアまたはデスモソームが確認された。さらに腹腔内移植群をコントロールとして比較したところ、その組織厚は腹腔内移植群に対し大動脈置換移植群の場合では有意に増大し、BNP およびMHC - α, βの遺伝子発現量の増大も認められ再生心筋組織が生理的肥大を起こし収縮力が強まったことが示唆された。これらの結果より細胞シート工学を用いて作製した再生心筋チューブは生体に類似した組織構造を呈し、さらにin vivo での拍動下で心筋組織を鍛えることにより高機能化できることが示された。
現在はこれまでの知見を受け管状三次元心筋組織のさらなる収縮率強化を図るべく、温度応答性培養皿表面にパターン状の加工を施し、心筋細胞の収縮方向が一方向性に配向した管状三次元心筋組織の創生を試みている(図2)。
研究者紹介
先端生命医科学研究所 講師 関根 秀一 Hidekazu SEKINE
今後、in vitro において心筋組織の細胞配向性を生体の心筋組織様に整列させ、血管網構築を制御することが可能となれば、より厚く、機能的な収縮力を持った三次元心筋組織創生への応用が期待されます。細胞シートを用いて作製した管状心筋組織の有用性が示されれば、補助ポンプとして心不全患者に移植することにより血行動態を改善することができ、新たな治療法となる可能性があり、多くの患者を救うことになることが予測されます。またin vitro で作製された管状三次元心筋組織は心臓モデルとして薬効試験など多くの研究に貢献するものと考えられます。
業績リスト
- Kubo H, Shimizu T, Yamato M, Fujimoto T, Okano T. Creation of myocardial tubes using cardiomyocyte sheets and an in vitro cell sheet-wrapping device. Biomaterials. 2007;28:3508 -16.
- Sekine H, Shimizu T, Yang J, Kobayashi E, Okano T. Pulsatile myocardial tubes fabricated with cell sheet engineering. Circulation. 2006;114:I87- 93.