細胞シート工学について


我々は細胞組織を再構築するためのアプローチとして「細胞シート工学」を提唱しています。すなわち、我々ヒトをはじめとした動物の組織・臓器の基本構成要素を、細胞-細胞間および細胞-細胞外マトリックス間が連結した「細胞シート」としてとらえることで、生体内の組織構成を模倣した三次元構造の再構築を追及するものです。

基本単位となる「細胞シート」を作製するために、我々は温度によって培養皿表面の性質が親水性/疎水性に変化するインテリジェント培養皿「温度応答性培養皿」を開発しました。

従来の細胞回収法ではトリプシンなどのタンパク質分解酵素で細胞-細胞間、細胞-細胞外マトリックス間のタンパク質は分解し、細胞はバラバラになり、シートとして回収することができません。しかし、温度応答性培養皿を用いることで、これらの細胞間接着を維持したまま、種々のシートを作製することに成功しています。

細胞シートの利用法として

  • 単層シート移植(皮膚、角膜上皮、歯根膜)、
  • 同一細胞シートの積層化による均一な組織構成(心筋)
  • 数種の細胞シートの積層化による層状構造を呈する組織の構築(肝臓、腎臓)

があり、種々の組織再構築の研究を行っています。